
熊本で外国人を採用する企業様へ|就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)完全ガイド
行政書士法人塩永事務所(熊本市中央区)
はじめに
熊本県内でも、製造業、IT企業、観光・宿泊業、飲食業などで外国人材の採用が増えています。人材不足の解消やグローバル化の推進において、外国人の力は欠かせない存在となっています。
しかし、外国人が日本で適法に働くためには、**就労ビザ(就労可能な在留資格)**の取得が必須です。適切な在留資格を取得せずに就労させた場合、企業側も不法就労助長罪として処罰される可能性があります。
本記事では、熊本市中央区に拠点を置く行政書士法人塩永事務所が、熊本県内の企業様向けに、就労ビザの種類・取得要件・審査のポイント・最新動向について、実務経験に基づき分かりやすく解説いたします。
1. 就労ビザとは?
正しい理解が重要です
「就労ビザ」という名称の在留資格は存在しません。これは、日本で報酬を得る活動が認められている在留資格の総称です。
外国人が日本で働くためには、活動内容(職種)に応じた適切な在留資格を取得する必要があります。
就労ビザの特徴
- 報酬を得る活動が認められる
- 活動内容(職種)が在留資格ごとに限定される
- 在留資格ごとに明確な要件がある
- 外国人本人と受け入れ企業の双方が審査対象
重要な注意点
在留資格で認められていない職種で働くことは資格外活動となり、不法就労として処罰されます。企業側も不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象となります。
2. 主な就労ビザの種類
熊本県内の企業様が外国人を採用する際によく利用される在留資格は以下のとおりです。
| 在留資格 | 主な対象職種 | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | システムエンジニア、機械設計、通訳・翻訳、貿易実務、マーケティング、経理など | 大学卒業者または実務経験者 |
| 技能 | 外国料理の調理師、建築大工、宝石加工、パイロット、スポーツ指導者など | 10年以上(料理の場合)の実務経験者 |
| 経営・管理 | 会社経営者、代表取締役、支店長など | 起業家・経営者 |
| 介護 | 介護福祉士の資格を持つ介護職員 | 介護福祉士国家資格取得者 |
| 特定技能 | 介護、建設、製造、農業、飲食料品製造など14分野 | 技能試験・日本語試験合格者 |
| 高度専門職 | 高度な専門知識・技能を持つ人材 | ポイント制で70点以上 |
3. 最も多い「技術・人文知識・国際業務」ビザ
「技人国(ぎじんこく)ビザ」とは
外国人が最も多く取得している就労ビザで、いわゆる「ホワイトカラー」の職種が対象です。熊本県内でも、製造業の技術者、IT企業のエンジニア、貿易会社の事務職など、幅広い職種で活用されています。
対象となる主な職種
技術分野:
- システムエンジニア、プログラマー
- 機械設計、電気・電子技術者
- 建設技術者(設計・施工管理)
- 品質管理技術者
人文知識分野:
- 経理、財務、人事、総務
- 法務、マーケティング、企画
- 営業(専門知識を要するもの)
国際業務分野:
- 通訳・翻訳
- 貿易実務(輸出入業務)
- 語学指導
- 海外取引業務
取得の主な要件
以下のいずれかを満たす必要があります:
① 大学卒業(学士)
- 大学で学んだ専攻分野と職務内容に関連性があること
- 例: 情報工学を専攻→システムエンジニア、経営学を専攻→マーケティング
② 専門学校卒業(専門士)
- 日本の専門学校で「専門士」の称号を得ていること
- 専攻分野と職務内容に関連性があること
③ 実務経験10年以上
- 大学・専門学校を卒業していない場合でも、10年以上の実務経験で要件を満たせる
- ※国際業務分野(通訳・語学指導等)は3年以上の経験でも可
④ その他の要件
- 日本企業との雇用契約が締結されていること
- 報酬額が日本人と同等以上であること
- 企業が安定して経営されていること
4. 審査で重視されるポイント
出入国在留管理局(入管)の審査は、外国人本人と受け入れ企業の双方に対して行われます。
① 外国人本人に関する審査
学歴・職歴の確認
- 最終学歴(大学・専門学校の卒業証明書)
- 専攻内容と職務内容の関連性
- 過去の職務経歴と在留状況
業務遂行能力
- 業務に必要な日本語能力(日本語能力試験N2以上が望ましい)
- 専門知識・技術の証明(資格、実務経験など)
在留歴・素行
- 過去の日本滞在中の法令遵守状況
- 在留カードの更新履歴
- 犯罪歴の有無
② 受け入れ企業に関する審査
事業の安定性・継続性
- 事業内容と外国人の業務の整合性
- 会社の経営状態(決算書、売上高、利益)
- 設立間もない企業や赤字企業は審査が厳しくなる
雇用契約の適正性
- 雇用契約書・労働条件通知書の内容
- 報酬額が日本人従業員と同等以上か
- 労働時間、休日、社会保険加入など労働法令の遵守
法令遵守
- 過去に不法就労助長罪などの違反がないか
- 税金・社会保険料の滞納がないか
- 労働基準法などの労働関係法令の遵守状況
業務の実在性
- 実際にその業務が存在するか
- 求人票や会社HPと業務内容が一致しているか
- 配属先、指導体制が明確か
5. 就労ビザ申請の種類と手続き
主な申請手続き
| 手続き名 | 内容 | 主な対象者 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 海外から外国人を呼び寄せる | 海外在住の外国人 | 福岡出入国在留管理局熊本出張所 |
| 在留資格変更許可申請 | 他の在留資格から就労ビザへ変更 | 留学生、家族滞在など | 福岡出入国在留管理局熊本出張所 |
| 在留期間更新許可申請 | 同じ在留資格で期間を延長 | 現在就労ビザを持つ外国人 | 福岡出入国在留管理局熊本出張所 |
申請先: 福岡出入国在留管理局熊本出張所
所在地: 〒862-0971 熊本県熊本市中央区大江3丁目1番53号 熊本第2合同庁舎
電話: 096-362-9466
受付時間: 平日9:00〜12:00、13:00〜16:00
主な必要書類
① 外国人本人に関する書類
- 在留資格認定証明書交付申請書(または変更・更新申請書)
- パスポート、在留カード(既に日本在住の場合)
- 証明写真(4cm×3cm、3ヶ月以内撮影)
- 卒業証明書、成績証明書(日本語または英語訳付き)
- 履歴書(日本語または英語)
- 職務経歴書(実務経験で申請する場合)
② 企業側が準備する書類
小規模企業(カテゴリー4)の場合:
- 雇用契約書または労働条件通知書
- 会社案内、パンフレット
- 登記事項証明書
- 直近年度の決算書(貸借対照表、損益計算書)
- 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるもの)
- 会社の沿革、役員、組織、事業内容等を明らかにする資料
- 事業所の写真
中規模以上の企業(カテゴリー1〜3)の場合: 書類が簡素化されます。
審査期間
- 在留資格認定証明書: 1〜3ヶ月
- 在留資格変更: 2週間〜1ヶ月
- 在留期間更新: 2週間〜1ヶ月
※繁忙期(3〜4月、9〜10月)は時間がかかる場合があります。
6. よくある不許可事例と対策
よくある不許可理由
① 学歴と業務内容の不一致
- 例: 経営学専攻の大卒者を工場の製造ラインに配属
- 対策: 専攻分野と職務内容の関連性を明確に説明
② 会社の経営状態が不安定
- 例: 設立直後、赤字決算、債務超過
- 対策: 事業計画書や資金繰り表で将来性を説明
③ 単純労働の疑い
- 例: 「技術・人文知識・国際業務」なのに現場作業が中心
- 対策: 業務内容を具体的に記載し、専門性を明示
④ 報酬が不適切
- 例: 日本人従業員より著しく低い給与
- 対策: 日本人と同等以上の報酬を設定
⑤ 偽装雇用・名義貸しの疑い
- 例: 実際には業務がない、他社で働かせる予定
- 対策: 配属先、指導体制、業務スケジュールを明確化
不許可を防ぐためのポイント
- 学歴証明書と職務内容の整合性を明確に
- 雇用契約書は具体的かつ詳細に作成
- 求人票・会社HP・申請書類の内容を統一
- 配属部署、指導体制、業務サポート体制を明示
- 経営状況に不安がある場合は事前に専門家に相談
7. 熊本で注目の最新トレンド
(1) 高度専門職ビザ(ポイント制)
特徴:
- 学歴、職歴、年収、年齢などをポイント化し、70点以上で取得可能
- 最長5年の在留期間
- 永住許可申請が最短1年で可能
- 配偶者の就労が可能
- 親や家事使用人の帯同が認められる(条件あり)
熊本での活用例:
- 高度な技術を持つエンジニアの採用
- 経営幹部候補の外国人材の受け入れ
(2) 留学生の採用増加
熊本大学、崇城大学、熊本県立大学などで学ぶ留学生を新卒採用し、就労ビザへ切り替えるケースが増えています。
メリット:
- 日本での生活経験があり、日本語能力が高い
- 熊本の地域事情を理解している
- 即戦力として期待できる
注意点:
- 卒業前に内定を出し、卒業後速やかに在留資格変更申請を行う
- 就職活動が長引く場合は「特定活動(継続就職活動)」への変更も検討
(3) 特定技能ビザの活用
熊本県内では、介護、建設、製造、農業、飲食料品製造などの分野で特定技能ビザの活用が進んでいます。
特定技能1号の特徴:
- 技能試験と日本語試験に合格すれば取得可能
- 在留期間は通算5年まで
- 家族の帯同は認められない
8. 行政書士法人塩永事務所のサポート内容
提供サービス
① 在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)
- 書類作成・提出代行
- 福岡出入国在留管理局熊本出張所への申請
② 在留資格変更許可申請(留学生の採用など)
- 留学ビザから就労ビザへの変更手続き
- 家族滞在ビザから就労ビザへの変更手続き
③ 在留期間更新許可申請
- 在留期間満了前の更新手続き
- 必要書類の準備・提出代行
④ 採用前の事前相談
- 外国人材の採用可能性の判断
- 必要な在留資格の選定
- 雇用契約書のチェック
⑤ 不許可時の対応・再申請支援
- 不許可理由の分析
- 再申請に向けた書類の再構成
- 追加資料の準備
⑥ 企業向けセミナー・研修
- 外国人雇用の基礎知識
- 就労ビザの種類と要件
- 労務管理の注意点
⑦ 高度専門職への移行サポート
- ポイント計算
- 高度専門職ビザへの変更申請
熊本県内全域対応
当事務所は、熊本市、八代市、人吉市、荒尾市、水俣市、玉名市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、阿蘇市、天草市、合志市など、熊本県内全域の企業様をサポートしております。
遠方の企業様は、オンライン相談や出張相談も承ります。
9. まとめ ― 適法な外国人雇用のために
外国人が日本で適法に就労するためには、適切な就労ビザの取得が必須です。しかし、取得には複雑な要件や書類準備が必要であり、企業・外国人双方に正確な理解と入念な準備が求められます。
不適切な手続きは、外国人の不法就労だけでなく、企業側の不法就労助長罪にもつながり、企業の信用を大きく損なうリスクがあります。
行政書士法人塩永事務所では、豊富な実績と専門知識を活かし、熊本県内の企業様の外国人雇用を迅速・的確・丁寧にサポートいたします。
お問い合わせ
📞 電話: 096-385-9002
(受付時間: 平日9:00〜18:00)
✉️ メール: info@shionagaoffice.jp
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