
入国後講習の講師要件に関する解説
行政書士法人塩永事務所
外国人技能実習生が日本に入国後、実際の実習を開始する前に義務付けられている「入国後講習」。この講習を実施する講師については、技能実習法に基づき厳格な要件が定められています。本記事では、入国後講習の講師要件について、より正確に詳しく解説いたします。
入国後講習とは
入国後講習は、技能実習生が日本での生活や実習を円滑に開始できるように、入国後に実施される義務的な講習です。
講習期間は、技能実習1号の活動予定期間全体の6分の1以上(海外で1か月以上の講習を受けた場合は12分の1以上)と定められています。
講習科目と講師要件
入国後講習は、以下の科目で構成されており、それぞれに講師要件が定められています。
科目 | 講師要件 | 根拠・具体例(より正確な情報に修正・追記) |
1. 日本語科目 | 日本語教育に関する専門的な知識、技術または経験を有する者 | 以下のいずれかに該当する者であることが必要です。<ul><li>大学または大学院で日本語教育に関する課程を修了した者</li><li>大学または大学院で日本語教育に関する科目の単位を26単位以上修得して卒業または修了した者</li><li>日本語教育能力検定試験に合格した者</li><li>学士の学位を有し、日本語教育に関する研修で**適当と認められるもの(420単位時間以上)を修了した者</li><li>海外の大学または大学院で日本語教育に関する課程を修了した者</li></ul> |
2. 本邦での生活一般に関する知識科目 | a) 本邦での生活一般に関する事項 (日本の気候、生活習慣、マナー、公共交通機関の利用方法など) | 生活一般に関する知識を有する者(監理団体の職員や、日本での生活について十分な知識を持つ者など)が担当可能です。 |
b) 出入国または労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときの対応方法、その他技能実習生の法的保護に必要な情報 | 弁護士、行政書士その他法令に関する専門的な知識を有する者、または監理団体の職員以外で、技能実習法令、入管法令、労働関係法令等、技能実習生の法的保護に必要な情報について十分な知識を有する外部講師**。 | |
3. 技能実習生の法的保護に必要な情報科目 | 弁護士、社会保険労務士、行政書士その他法令に関する専門的な知識を有する者 | 監理団体の職員以外で、技能実習法令、入管法令、労働関係法令等、技能実習生の法的保護に必要な情報について十分な知識を有する外部講師が当該講義を行うこととされています。 (内容例:労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、入管法、技能実習法、相談・苦情の申告先) |
4. 円滑な技能等の修得等に資する知識科目 | 当該技能実習に関する専門的な知識、技術または経験を有する者 | 実習実施者の技能指導員や、業界経験豊富な者などが担当可能です。 (内容例:日本の産業・企業文化、実習現場でのコミュニケーション方法、技能実習を円滑に進めるための心構え) |
※ 上記「2.b)」「3.」の法的保護に関する情報については、技能実習生の母語で実施する必要があります。
講師選定のポイント(留意点)
- 適格性の確認講師が欠格事由(技能実習法第10条第1項各号)に該当しないことを確認する必要があります。
- 母語による講習の実施技能実習生の母語またはやさしい日本語で講習を実施することが求められます。特に、法的保護に関する科目(2.b、3.)については、必ず母語で実施しなければなりません。
- 講師の質の確保講師の経歴書や資格証明書を整備し、適切な講師が配置されていることを証明できるようにしておくことが重要です。
監理団体としての留意点
- 講習実施体制の整備
- 各科目に適切な資格・経験を持つ講師を配置
- 講師のスケジュール管理と講習計画の作成
- 講習実施記録の作成・保管(オンライン講習の場合は、客観的に把握できる記録が必要)
- 外部講師の活用監理団体の職員だけでは全ての科目をカバーできない場合、外部の専門家(弁護士、行政書士、社会保険労務士、日本語教師等)に委託することが一般的です。特に、法的保護に関する科目については外部専門家の活用が原則とされています。
- 講習の質の確保
- 講習内容の定期的な見直し
- 技能実習生の理解度の確認
- 講習効果の測定と改善
当事務所のサポート内容
行政書士法人塩永事務所では、監理団体の皆様に対して、技能実習法令に基づいた適正な講習実施をサポートいたします。
- 入国後講習の法的保護科目の講師派遣(行政書士として)
- 講習カリキュラムの作成支援
- 講師要件の確認と適格講師の紹介
- 講習実施記録の作成サポート
- 技能実習法令に関する最新情報の提供
まとめ
入国後講習の講師要件は、技能実習生を保護し、円滑に技能修得を進めるために、技能実習法により厳格に定められています。監理団体は、各科目に適切な資格・経験を持つ講師を配置し、特に法的保護に関する科目は外部専門家による母語での講習を実施するなど、質の高い講習を実施する責任があります。
講習実施体制でお困りの際は、ぜひ行政書士法人塩永事務所までご相談ください。技能実習制度に精通した専門家が、貴団体の講習実施をサポートいたします。
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