
相続手続きの正確なガイド – 熊本市の行政書士によるサポート
相続は人生において避けて通れない重要な法的手続きです。適切な知識と手続きにより、相続人間の紛争を防ぎ、円滑な相続を実現できます。
相続手続きでよくあるお悩み
- 戸籍等必要書類の収集方法がわからない
- 相続人の確定方法がわからない
- 相続財産の調査・評価方法がわからない
- 遺産分割協議の進め方がわからない
- 遺産分割協議書の適切な作成方法がわからない
- 各種相続手続きの期限がわからない
- 遺言書の適切な作成方法がわからない
- 相続放棄や限定承認の手続きがわからない
相続手続きの全体的な流れ
1. 相続開始の確認(死亡の事実)
- 死亡届の提出(7日以内)
- 死亡診断書の取得
2. 遺言書の有無の確認
- 自筆証書遺言: 法務局保管制度の利用有無確認
- 公正証書遺言: 公証役場での検索
- 秘密証書遺言: 公証役場での検索
3. 相続人の確定
- 戸籍謄本等の収集
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の現在戸籍謄本
- 相続人全員の住民票
4. 相続財産の調査・評価
- プラスの財産
- 不動産(固定資産評価証明書等で評価)
- 預貯金(金融機関への残高証明書請求)
- 有価証券(証券会社への残高照会)
- 生命保険金(受取人指定により相続財産ではない場合あり)
- その他動産
- マイナスの財産
- 借入金・ローン
- 未払税金
- 保証債務
- その他債務
5. 相続方針の決定(3か月以内)
- 単純承認: 全ての財産・債務を相続
- 相続放棄: 全ての財産・債務を放棄(家庭裁判所への申述要)
- 限定承認: 財産の範囲内で債務を承継(家庭裁判所への申述要、相続人全員で行う必要)
遺産分割協議について
遺産分割協議の要件
- 相続人全員の参加: 一人でも欠けると無効
- 意思能力: 認知症等の場合は成年後見人の選任要
- 未成年者: 親権者が代理(利益相反の場合は特別代理人選任要)
遺産分割の方法
- 現物分割: 個々の財産をそのまま分割
- 代償分割: 一部相続人が財産を取得し、他の相続人に金銭等で代償
- 換価分割: 財産を売却して金銭で分割
- 共有分割: 財産を共有で取得(将来的な処分が困難になる可能性)
法定相続分
- 配偶者と子: 配偶者1/2、子1/2(子が複数の場合は均等分割)
- 配偶者と直系尊属: 配偶者2/3、直系尊属1/3
- 配偶者と兄弟姉妹: 配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
遺産分割協議書の作成
記載必須事項
- 被相続人の特定: 氏名、本籍、最後の住所、死亡年月日
- 相続人の特定: 全相続人の氏名、住所、被相続人との続柄
- 相続財産の特定:
- 不動産: 登記事項証明書記載の所在・地番・地目・地積等
- 預貯金: 金融機関名・支店名・口座番号・残高
- その他財産: 具体的な特定方法で記載
- 分割内容の明記: 誰がどの財産をどのような割合で取得するか
- 作成年月日と相続人全員の署名・実印押印
添付書類
- 相続人全員の印鑑証明書(3か月以内が望ましい)
- 被相続人の戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
- 不動産の固定資産評価証明書等
注意点
- 後日の紛争防止: 曖昧な表現を避け、具体的に記載
- 税務上の考慮: 相続税・贈与税の課税関係を検討
- 登記等手続きとの整合性: 名義変更手続きに必要な記載を確保
各種名義変更手続き
不動産の相続登記
- 申請期限: 2024年4月1日から義務化(3年以内)
- 必要書類: 遺産分割協議書、印鑑証明書、戸籍謄本等
- 登録免許税: 固定資産評価額の0.4%
預貯金の名義変更・解約
- 金融機関ごとに手続き: 各行所定の書類
- 必要書類: 遺産分割協議書、印鑑証明書、戸籍謄本等
その他の名義変更
- 株式・投資信託
- 自動車
- 各種契約(電気・ガス・水道等)
遺言書の種類と特徴
自筆証書遺言
要件
- 全文・日付・氏名を自書
- 押印(認印可)
- 財産目録は自書不要(ただし各頁に署名・押印要)
メリット
- 費用がかからない
- 秘密を保持できる
- いつでも作成・変更可能
デメリット
- 方式不備により無効となるリスク
- 紛失・偽造・隠匿のリスク
- 家庭裁判所での検認手続きが必要(法務局保管制度利用時は不要)
公正証書遺言
要件
- 証人2人以上の立会い
- 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授
- 公証人が筆記し、遺言者・証人に読み聞かせ
- 遺言者・証人が署名・押印
- 公証人が署名・押印
メリット
- 公証人の関与により方式不備のリスクが低い
- 原本が公証役場に保管され、紛失・偽造・隠匿のリスクなし
- 家庭裁判所での検認手続き不要
デメリット
- 費用がかかる(公証人手数料)
- 証人の確保が必要
- 完全な秘密保持は困難
秘密証書遺言
要件
- 遺言者が遺言書に署名・押印
- 遺言書を封じ、遺言書に用いた印章で封印
- 公証人・証人2人以上の前に封書を提出
- 公証人が所定事項を封紙に記載
- 遺言者・証人・公証人が署名・押印
メリット
- 遺言の内容を秘密にできる
- 筆記者の制限なし(代筆・ワープロ可)
デメリット
- 方式不備により無効となるリスク
- 家庭裁判所での検認手続きが必要
- 実務上あまり利用されない
遺言書作成時の注意点
内容面での注意
- 遺留分への配慮: 兄弟姉妹以外の相続人には遺留分あり
- 特別受益・寄与分の考慮: 相続人間の公平性への配慮
- 執行方法の明確化: 遺言執行者の指定
- 予備的条項: 推定相続人の先死亡等への対応
- 付言事項: 遺言の理由や相続人への想いの記載
形式面での注意
- 法定要件の遵守: 各方式の要件を厳格に遵守
- 明確な表現: 解釈に疑義が生じない表現
- 財産の特定: 不動産は登記簿記載どおり、預貯金は口座番号まで記載
- 日付の特定: 「○年○月吉日」等は無効
相続税について
基礎控除額
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例:配偶者と子2人の場合 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
相続税の申告・納付期限
被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内
主な軽減制度
- 配偶者の税額軽減: 1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで非課税
- 小規模宅地等の特例: 一定の宅地について評価額を減額
- 未成年者控除・障害者控除: 該当する相続人について一定額控除
行政書士によるサポート範囲
対応可能業務
- 戸籍謄本等の収集代行
- 相続関係説明図の作成
- 相続財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 遺言書の作成支援・リーガルチェック
- 各種相続手続きの代行(登記申請を除く)
- 相続に関する相談・アドバイス
対応不可業務(他士業の専門分野)
- 不動産の相続登記(司法書士)
- 相続税申告(税理士)
- 家庭裁判所での調停・審判手続き(弁護士)
- 相続財産の評価・鑑定(不動産鑑定士等)
まとめ
相続手続きは複雑で、適切な知識なしに進めると後々大きな問題となる可能性があります。特に以下の点は重要です:
- 早期の専門家への相談: 相続放棄等には期限があるため
- 適切な遺産分割協議書の作成: 後日の紛争防止のため
- 遺言書の事前作成: 相続人間の争いを防ぐため
- 税務上の検討: 相続税の課税関係を事前に把握
相続は感情的になりがちな分野でもあります。専門家による客観的なサポートを受けることで、相続人全員が納得できる円滑な相続を実現することができます。
お問い合わせについて 相続に関するご相談は、個別の事情により対応方法が大きく異なります。まずはお気軽にご相談ください。初回相談において、お客様の状況を詳しくお聞かせいただき、最適な手続き方法をご提案いたします。