
介護(福祉)タクシーとは:開業ガイド
介護タクシー(通称:福祉タクシー)は、単独での移動が難しい高齢者や障がい者を主な対象とする特別なタクシーサービスです。通常のタクシー事業が「一般乗用旅客自動車運送事業」として許可されるのに対し、介護タクシーは利用者が限定されるため、「福祉輸送事業」として許可されます。これにより、開業の要件が一般タクシーより緩和されています。
1. 介護タクシーの利用対象者
以下の条件に当てはまる方と、その付き添いの方が利用できます。
- 身体障害者手帳をお持ちの方
- 介護保険法に基づき、要介護または要支援認定を受けている方
- 上記に準ずる障がいを持つ方
- 単独で公共交通機関を利用することが困難な方
2. 使用できる車両
介護タクシーでは、自家用車を含む様々な車両を使用できます。
- 福祉車両: 車いす用のリフト、スロープ、寝台、回転シートなどの乗降補助装置がついた車両。
- 普通自動車(セダン型): 運転者が介護福祉士や訪問介護員などの資格を持っている場合、使用が可能です。
- 自家用車: 新車・中古車を問わず、普通車や軽自動車も使用できます。ただし、許可後に「事業用」ナンバー(緑色)に変更する必要があります。
3. 開業に必要な資格と条件
3-1. 運転者に必要な資格
介護タクシーを運転する人は、以下の資格が必要です。
- 第二種運転免許: 旅客運送に必須の免許です。普通免許取得から3年以上の経験(21歳以上)が必要になります。
- 介護関連の資格(努力義務): 以下のいずれかの資格があると、より円滑なサービス提供が期待されます。
- 介護福祉士
- 訪問介護員(ホームヘルパー)
- サービス介助士
- 福祉タクシー乗務員研修の修了
3-2. その他の条件
- 人員配置: 労働基準法などの労働関係法令を遵守し、必要な資格を持つ運転手を常時十分な人数配置する必要があります。
- 事業形態: 個人事業主または法人として開業できます。
- 個人事業主: 社会保険への加入が不要なため、初期費用を抑えられます。ただし、事業主の死亡時に許可は失効し、新たな認可が必要です。
- 法人: 代表者が変更されても事業の許可を維持できます。「訪問介護事業」や「居宅介護事業」の指定を取得することで、後述する介護保険タクシーのサービスを提供できるようになります。
4. 開業場所と車両台数
- 自宅での開業: 自宅でも、営業所としての要件(建築基準法等の法令遵守など)を満たせば開業が可能です。賃貸物件の場合は、所有者の承諾書が必要になります。
- 車両台数: 一般タクシーと異なり、1台から事業を始めることができます。個人・法人どちらでも申請可能です。
5. 介護保険タクシーとの違いと始め方
5-1. 介護保険タクシーとは
介護保険タクシーは、訪問介護事業所や居宅介護事業所が提供するサービスです。介護保険が適用されるため、利用者は自己負担額のみで利用できます。このサービスは「通院等乗降介助」と呼ばれ、ヘルパーが運転し、乗降や移動の介助も行います。
5-2. 介護タクシーとの主な違い
5-3. 介護保険タクシーの始め方
- 法人を設立します。
- 介護事業者としての指定(訪問介護事業など)を取得します。
- 介護タクシーの許可(福祉輸送事業許可)を申請します。
6. 介護タクシーと一般タクシーの違い
7. 介護タクシー開業のサポート
介護タクシーの開業には、複雑な許可申請や各種手続きが伴います。行政書士法人塩永事務所では、開業に関するご相談から書類作成、申請代行まで、豊富な経験をもとにサポートを提供しています。詳細な要件や地域ごとのルールにも対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。