
自動車運転代行業とは?開業までのポイントを解説
自動車運転代行業は、近年注目を集めている事業の一つです。比較的少ない資金で始められるため、「将来的に独立したい」「新しい事業を始めたい」と考えている方にとって魅力的な選択肢といえるでしょう。
しかし、営業を開始するためには、公安委員会の認定を受ける必要があり、さまざまな要件を満たさなければなりません。ここでは、自動車運転代行業の概要から、開業に必要な準備について詳しく解説します。
自動車運転代行業とは?
自動車運転代行業とは、他人に代わって自動車を運転するサービスを提供する事業です。具体的には、次の3つの要件をすべて満たすものを指します。
- 主に夜間に、お酒を飲んだお客様に代わって運転を行う
- お客様を運転する車(代行運転自動車)に乗せる
- 代行業者の車(随伴用自動車)が、お客様の車に随行する
開業までの主な要件と注意点
1. 欠格要件の確認
以下のいずれかに該当する場合、自動車運転代行業を営むことはできません。
- 破産手続き開始の決定を受け、復権していない
- 禁錮以上の刑、または自動車運転代行業法などに違反し罰金刑を受け、刑の執行が終わった日などから2年が経過していない
- 最近2年間に営業停止命令などに違反する行為をした
- 心身の故障により、業務を適正に行うことができない
- 集団的・常習的に不法行為を行うおそれがある
- 営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者
- 損害賠償措置が、国土交通省令で定める基準に適合しない
- 安全運転管理者などを選任していない
- 法人で、役員に上記のいずれかに該当する人がいる
2. 安全運転管理者の選任
安全運転管理者は、営業所に1人(随伴用自動車19台以下の場合)以上選任する必要があります。資格要件は以下の通りです。
- 20歳(副安全運転管理者を置く場合は30歳)以上であること
- 自動車の運転管理に関する2年以上の実務経験(公安委員会の教習を修了した場合は1年以上)がある、または同等の能力があると公安委員会が認定した者
- 過去2年以内に、ひき逃げ、酒酔い運転、無免許運転などの違反行為をしていない
安全運転管理者の選任は、認定を受けるための重要なポイントの一つです。
3. 第二種免許の義務
お客様の車を運転する従事者(代行運転自動車の運転手)は、第二種免許を所持している必要があります。
第二種免許を持たずに業務を行うと「無免許運転違反」となり、罰則の対象となります。また、無免許の従事者を働かせた場合は「無免許運転の下命・容認違反」として、使用者も罰せられます。
4. 損害賠償措置(任意保険)への加入
万が一の事故に備え、以下の最低補償額を満たす保険に加入する必要があります。
- 対人:1人につき8,000万円以上
- 対物:1事故につき200万円以上
- 車両:1事故につき200万円以上
認定申請の流れと必要書類
自動車運転代行業の開業には、公安委員会への認定申請が必要です。申請書類は、個人事業主か法人か、また申請者の状況によって異なります。
個人の場合
- 申請書
- 住民票(本籍地が記載されたもの)
- 診断書・誓約書(心身の故障がないことを証明するもの)
- 損害賠償措置の書類(運転代行保険証券の写しなど)
- 安全運転管理者に関する書類(住民票、実務経験の書面など)
法人の場合
- 申請書
- 法人の登記簿謄本
- 定款
- 役員名簿、役員全員の住民票
- 役員全員の診断書・誓約書
- 損害賠償措置の書類
- 安全運転管理者に関する書類
これらの書類を揃えて申請し、認定を受けることで、事業を開始できます。
認定後の主な遵守事項
認定を受けた後も、事業者は法律に基づき、以下の事項を遵守しなければなりません。
- 認定証の掲示:主たる営業所の見やすい場所に認定証を掲示する
- 料金の掲示:お客様から受け取る料金を営業所に掲示する
- 標識の表示:代行運転自動車と随伴用自動車に所定の標識を表示する
- 帳簿の備え付け:乗務記録や苦情処理簿など、指定された帳簿を備え付ける
これらの義務を怠ったり、認定要件を欠いたりすると、罰則や認定の取り消しにつながることがあります。
ご相談ください
自動車運転代行業の開業には、複雑な手続きや専門的な知識が必要です。当事務所では、開業に向けた手続きのサポートを行っています。書類作成や申請でお困りの方は、お気軽にお問い合わせください。