
技能実習生の外部監査人を行政書士に依頼する方法と流れ【完全ガイド】
はじめに
監理団体が技能実習制度の下で監理事業許可を取得・維持するためには、**「外部監査人」または「指定外部役員」**のいずれかを選任する必要があります。
ただし、この役割は誰でも就任できるわけではなく、法令や実務上の要件が定められています。
実務では、外部監査人として行政書士が選任されるケースが多く見られます。この記事では、行政書士に外部監査人を依頼する場合の要件・職務内容・依頼手順・費用相場を詳しく解説します。
1. 外部監査人とは
外部監査人は、監理団体の運営状況を第三者の立場から監査し、適正な運営を確保する役割を担います。
監理事業許可を受けるための要件として、法律(技能実習法)では以下のいずれかの措置を取ることが求められています。
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役員構成が、実習実施者(受け入れ企業)と密接な関係を持つ者だけで構成されていないこと
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実習実施者と密接な関係を持たない者に、役員の職務執行を監査させること
この「密接な関係を持たない者」が外部監査人に該当します。
2. 外部監査人の要件
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法人・個人を問わず監理団体からの選任で就任可能
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就任前3年以内に「外部監査人講習」を修了していること
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実務上は、監査を適正に行う能力・経験の証明が必要
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例:行政書士や社会保険労務士などの資格保有
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例:人事労務、外国人労働者管理の実務経験
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3. 外部監査人の職務内容
外部監査人の業務は大きく2種類に分かれます。
(1) 四半期ごとの監査(3か月に1回以上)
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責任役員や監理責任者からの報告聴取
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各事業所の設備確認、帳簿・書類の閲覧
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結果を文書化し監理団体へ提出
(2) 年1回以上の実地監査同行
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技能実習受け入れ企業への訪問監査に同行
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監理が適正か確認
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結果を文書化し監理団体へ提出
4. 監査項目の例
監査内容は主に次の5分野に分類されます。
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監理費
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用途・金額を事前明示した上で徴収しているか
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業務
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認定計画どおりに技能実習が行われているか
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書類
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実習生・実習実施者の管理簿が適切に整備されているか
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保護
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暴行・脅迫・監禁等による強制労働がないか
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その他
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監理団体の許可証が事業所に備え付けられているか
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5. 指定外部役員との違い
項目 | 外部監査人 | 指定外部役員 |
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所属 | 法人外部 | 法人内部 |
選任元 | 監理団体 | 監理団体の外部役員からの指定 |
主な役割 | 外部から監査 | 内部役員として監査 |
独立性 | 高い | やや低い |
6. 外部監査人になれない人
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過去5年以内に監理団体または実習実施者(受け入れ企業)と関わりがある者
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実習実施者や監理団体の役員経験者など
このため、実務では中立性が高く、外国人雇用や技能実習制度に詳しい行政書士が選ばれることが多いです。
7. 行政書士に依頼するメリット
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技能実習制度や入管業務に精通している
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外部監査人講習修了者が多い
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法的知識に基づき監査結果を適切に文書化できる
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国際関連業務の経験が豊富な事務所も多い
8. 行政書士への依頼の流れ
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問い合わせ(電話・メール・Webフォーム)
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業務内容・条件の確認(オンライン相談可)
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面談による詳細打ち合わせ
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契約締結(1年契約が一般的。自動更新あり)
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費用支払い
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監査業務開始
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報告書提出・事後対応
※ オンライン相談にも有料の場合があるため、事前に料金を確認することが重要です。
9. 費用の目安
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交通費:実費
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監査料:4,000〜6,000円/時間
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書類作成料:10,000〜15,000円(定額)
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日当:2,000〜4,000円/時間
※ 監理事業許可申請や技能実習計画認定申請も併せて依頼する場合は別途費用が発生。
10. 依頼時の注意点
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外部監査実績が豊富な行政書士を選ぶ
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国際関連業務や外国人労務管理に精通しているか確認
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契約条件(期間・更新・報告形式)を明確にする
まとめ
外部監査人の選任は、監理団体の法令遵守と健全な運営に直結する重要な手続きです。
特に行政書士は、法的知識と制度運用経験の両面で優れており、外部監査人として最適な選択肢の一つです。お声掛けください。