
一般貨物自動車運送事業「譲渡譲受認可」の手続きについて
はじめに
一般貨物自動車運送事業の譲渡譲受は、事業を営む権利そのものを他者に移転する重要な手続きです。この手続きには国土交通大臣(地方運輸局長)の認可が必要であり、複雑な申請書類の準備と厳格な審査が行われます。
行政書士法人塩永事務所では、長年にわたり運送業許可申請のサポートを行っており、譲渡譲受認可についても豊富な実績を有しております。本記事では、手続きの流れから必要書類まで、詳細に解説いたします。
譲渡譲受認可とは
制度の概要
一般貨物自動車運送事業の譲渡譲受認可とは、既存の運送事業者がその事業を第三者に譲渡し、譲受人がその事業を承継するために必要な許可手続きです。
法的根拠
- 貨物自動車運送事業法第30条
- 貨物自動車運送事業法施行規則第27条~第29条
認可が必要な理由
運送事業は公共性が高く、利用者保護の観点から事業者の適格性を継続的に確保する必要があるため、事業の譲渡譲受には行政の認可が必要とされています。
申請の要件
譲渡人の要件
- 現在有効な一般貨物自動車運送事業許可を有していること
- 法令違反による処分期間中でないこと
- 譲渡の正当な理由があること
譲受人の要件
- 経営能力:適切な事業運営能力を有すること
- 財産的基礎:事業継続に必要な資金力を有すること
- 法令遵守:運送事業に関する法令を遵守できること
- 社会保険等:社会保険・労働保険への適切な加入
具体的な基準
- 自己資金要件:車両費、建物費、機械器具費、土地費、運転資金(2か月分)の合計額以上
- 管理体制:運行管理者、整備管理者の選任
- 営業所、車庫等の適切な確保
手続きの流れ
1. 事前相談・準備段階(約1~2か月)
- 譲渡譲受の方針決定
- 必要書類の収集・作成
- 財務状況の整理
- 管理体制の確認
2. 申請書類作成(約2~4週間)
- 譲渡譲受認可申請書の作成
- 添付書類の準備
- 書類の精査・確認
3. 申請提出
- 管轄の地方運輸局への申請書類提出
- 申請手数料の納付(120,000円)
4. 審査期間(約3~6か月)
- 書面審査
- 必要に応じて補正・追加資料の提出
- 実地調査(場合により実施)
- 法令試験(譲受人が受験)
5. 認可・事業開始
- 認可書の交付
- 事業の承継
- 各種届出の実施
必要書類一覧
基本書類
- 譲渡譲受認可申請書
- 事業計画書
- 譲渡契約書(案)
譲渡人関係書類
- 会社登記事項証明書
- 定款
- 株主名簿
- 取締役会議事録(譲渡決議)
- 財務諸表(直近3期分)
譲受人関係書類
- 会社登記事項証明書
- 定款
- 株主名簿
- 取締役会議事録(譲受決議)
- 財務諸表(直近3期分)
- 預金残高証明書
- 不動産登記事項証明書(営業所・車庫等)
施設関係書類
- 営業所の賃貸借契約書または売買契約書
- 車庫の賃貸借契約書または売買契約書
- 都市計画法等への適合証明書
- 施設の図面・写真
車両関係書類
- 自動車検査証の写し
- 自動車保険証書の写し
- 車両の譲渡契約書
人事関係書類
- 運行管理者選任届
- 整備管理者選任届
- 役員の履歴書
- 運転者名簿
審査のポイント
1. 財務状況の審査
- 自己資金の確実性
- 事業継続能力
- 債務の引継ぎ状況
2. 法令遵守体制
- 管理者の適格性
- 過去の法令違反歴
- 労働条件の適正性
3. 事業の継続性
- 荷主との関係継続
- 従業員の承継
- 営業所・車庫の確保
4. 公益性の確保
- 利用者サービスの維持向上
- 地域経済への貢献
- 競争の公正性
よくある質問
Q1: 譲渡譲受と新規許可申請の違いは? A1: 譲渡譲受は既存の事業を引き継ぐため、事業の継続性が重視されます。新規許可と比べて審査期間は短めですが、譲渡人・譲受人双方の適格性が問われます。
Q2: 車両や従業員も一緒に譲渡する必要があるか? A2: 法律上の義務ではありませんが、事業の実質的継続のため、通常は主要な事業資産と従業員の承継が期待されます。
Q3: 認可後の手続きは? A3: 認可後は速やかに事業を開始し、各種変更届出(営業所、車両等)を提出する必要があります。
注意すべきポイント
1. 事前準備の重要性
譲渡譲受認可は複雑な手続きのため、十分な事前準備が不可欠です。特に財務状況の整理と必要書類の早期収集が重要です。
2. 法令試験への対応
譲受人は法令試験に合格する必要があります。貨物自動車運送事業法を中心とした出題となるため、十分な学習が必要です。
3. 期限の管理
各種書類には有効期限があります。申請書類の作成スケジュールを適切に管理することが重要です。
4. 関係者との調整
荷主、従業員、取引先等の関係者との調整も重要な要素です。事業承継に関する合意形成を図る必要があります。
行政書士法人塩永事務所のサポート
豊富な実績
当事務所では、一般貨物自動車運送事業の許可申請など数多くの案件を手がけてまいりました。運送業界特有の複雑な規制についても精通しております。
ワンストップサービス
申請書類の作成から提出、審査対応まで、一貫してサポートいたします。また、税理士、社会保険労務士とも連携し、総合的なアドバイスを提供いたします。
アフターフォロー
認可取得後の各種手続きや、事業運営に関するご相談についても継続的にサポートいたします。
まとめ
一般貨物自動車運送事業の譲渡譲受認可は、事業承継を成功させるための重要な手続きです。複雑な要件と厳格な審査があるため、専門知識を有する行政書士のサポートをお勧めいたします。
行政書士法人塩永事務所では、お客様の事業承継を成功に導くため、きめ細やかなサポートを提供しております。譲渡譲受認可に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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