一般貨物自動車運送事業「譲渡譲受認可」手続きの詳細
行政書士法人塩永事務所
はじめに
一般貨物自動車運送事業の営業権は、法令に基づき譲渡・譲受が可能です。ただし、その際には「譲渡譲受認可」を受ける必要があります。本記事では、その手続きの流れ・必要書類・注意事項について詳しく解説します。
譲渡譲受認可の概要
一般貨物自動車運送事業の譲渡譲受とは、事業全体(営業権・営業所・車庫・車両・器具等)を譲渡人から譲受人に引き継ぐことです。この認可を取得することにより、譲受人は新たな許可を取得することなく事業運営が可能となります。
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対象は「事業全体の譲渡」のみ(一部は不可、計画変更手続きが必要)。
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譲受人は新規申請と同等の審査(人的・資金・施設面など)を受けます。
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法令試験の合格が必要です。
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営業権などを譲り受ける契約締結が前提です。
手続きの流れ
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譲渡譲受契約の締結
譲渡人・譲受人間で事業譲渡譲受契約を締結します。 -
必要書類の準備
主な申請書類は以下の通りです。-
譲渡譲受認可申請書(連署)
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譲渡譲受契約書
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事業用自動車台数・営業所・施設等の明細書
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宣誓書
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事業計画新旧対照表
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役員名簿 等
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申請書の提出
管轄運輸支局経由で地方運輸局長宛に提出します。
※不備がなければ一旦受理されます。 -
法令試験の受験
譲受人(または代表役員)が法令試験に合格する必要があります。 -
審査
営業所・車庫等の要件、人員体制(運転者5人以上など)、資金要件(1,000万円等)を審査されます。
※譲渡会社から雇用・物件譲受も可能。 -
認可・引継ぎ
審査をクリアすると認可され、事業用自動車の登録や運賃料金の設定届出などを行った後、運送事業を開始できます。 -
譲渡譲受終了届等の提出
事業譲渡譲受完了後は速やかに「譲渡譲受終了届」を提出します。
注意点・メリット・デメリット
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【メリット】
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新規許可取得より短期間で事業開始(目安:3か月程度)。
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登録免許税が不要(通常新規12万円)。
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許可と一括して施設や人員も承継できる。
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【デメリット】
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譲渡交渉が難航する可能性
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行政処分も承継される場合あり
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新規自由度は低い
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まとめ
一般貨物自動車運送事業の譲渡譲受認可は、譲受人にとって事業開始をスムーズに進める有効な選択肢です。ただし、厳格な審査や各種要件を満たす必要があり、書類作成・準備には専門的知識を要します。
当事務所では、事業譲渡譲受に関する契約案作成や申請書類の準備、運輸局への申請手続きまで一貫してサポートいたします。お気軽にご相談ください。
ご不明点やご相談は、行政書士法人塩永事務所までお問い合わせください。