
貨物利用運送事業の許可申請手続き完全ガイド
行政書士法人塩永事務所
はじめに
貨物利用運送事業は、他人の需要に応じて有償で貨物の運送を行う事業であり、実際の運送は他の運送事業者に委託して行う事業形態です。近年、物流業界の多様化に伴い、貨物利用運送事業への参入を検討される事業者様が増加しています。
本記事では、貨物利用運送事業の許可申請手続きについて、行政書士法人塩永事務所の豊富な実務経験をもとに詳しく解説いたします。
貨物利用運送事業の種類
貨物利用運送事業は、以下の2つに分類されます。
第一種貨物利用運送事業
- 対象:トラック運送、内航海運、航空運送を利用した運送
- 許可権者:国土交通大臣(地方運輸局長に委任)
- 特徴:比較的参入しやすい事業形態
第二種貨物利用運送事業
- 対象:鉄道運送、外航海運を利用した運送
- 許可権者:国土交通大臣
- 特徴:より厳格な審査基準
許可申請の要件
1. 事業遂行能力
- 営業所:適切な規模と設備を有する営業所の確保
- 運送約款:適正な運送約款の策定
- 損害賠償能力:貨物賠償責任保険への加入
2. 財産的基礎
- 資本金:法人の場合は300万円以上
- 純資産:300万円以上の維持
- 資金計画:事業開始に必要な資金の確保
3. 欠格事由の不存在
- 許可申請者及び役員等が法定の欠格事由に該当しないこと
- 過去の許可取消し等の処分歴がないこと
申請手続きの流れ
1. 事前準備段階
- 事業計画の策定
- 取扱貨物の種類と範囲
- 営業区域の設定
- 利用運送事業者の選定
- 営業所の準備
- 適切な立地の選定
- 必要な設備の整備
- 使用権原の確保
- 資金の調達
- 所要資金の算定
- 資金調達方法の検討
- 資金証明書類の準備
2. 申請書類の作成
必要な申請書類は以下の通りです:
- 許可申請書(様式第1号)
- 事業計画書
- 営業所及び車庫の案内図、見取図、写真
- 運送約款
- 役員の履歴書
- 定款又は寄付行為
- 登記事項証明書
- 残高証明書
- 損害賠償責任保険証券(写)
3. 申請書の提出
- 提出先:営業所所在地を管轄する地方運輸局
- 審査期間:標準処理期間は3~4ヶ月
- 手数料:12万円(登録免許税別途)
4. 審査段階
- 書面審査
- 申請書類の形式的審査
- 法令適合性の確認
- 実地審査
- 営業所の確認
- 帳簿類の整備状況確認
- 公示・意見聴取
- 申請内容の公示
- 関係者からの意見聴取
5. 許可後の手続き
- 運輸開始前の届出
- 運送約款の届出
- 料金設定の届出
- 運輸開始届
- 事業開始から30日以内に提出
申請時の注意点
営業所に関する注意事項
- 都市計画法、建築基準法等の関係法令に適合していること
- 使用権原が明確であること(賃貸借契約書等)
- 事業遂行に必要な設備が整っていること
財産的基礎に関する注意事項
- 申請時点での資産状況の正確な把握
- 継続的な資金調達能力の証明
- 事業開始後の資金繰りの検討
利用運送事業者との関係
- 適切な利用運送事業者の選定
- 利用運送契約の適正な締結
- 運送責任の明確化
よくある申請不備とその対策
1. 営業所関係
- 不備例:使用権原の証明不足
- 対策:賃貸借契約書の内容確認と適正な契約期間の設定
2. 財産的基礎
- 不備例:資金証明の時点不適合
- 対策:申請直前の残高証明書取得
3. 人的要件
- 不備例:役員の欠格事由該当
- 対策:事前の詳細な調査と確認
許可取得後の運営上の注意点
1. 各種届出義務
- 事業報告書の提出(年1回)
- 事業実績報告書の提出(年1回)
- 各種変更届の提出(変更時)
2. 法令遵守体制の構築
- 運送約款の遵守
- 適正な料金収受
- 損害賠償責任保険の継続加入
3. 帳簿の整備・保存
- 運送引受書
- 運送契約書
- 事故報告書
- その他法定帳簿
行政書士法人塩永事務所のサポート内容
当事務所では、貨物利用運送事業の許可申請について以下のサポートを提供しています:
申請前コンサルティング
- 事業計画の策定支援
- 要件適合性の事前診断
- 営業所選定のアドバイス
申請書類の作成・提出
- 全申請書類の作成代行
- 関係機関との事前調整
- 申請書の提出代行
許可後のフォローアップ
- 運輸開始手続きの支援
- 継続的なコンプライアンス支援
- 各種変更手続きの代行
まとめ
貨物利用運送事業の許可申請は、多くの要件を満たす必要があり、申請書類の作成も複雑です。また、許可取得後も継続的な法令遵守が求められます。
行政書士法人塩永事務所では、豊富な実務経験と専門知識を活かし、お客様の事業計画に最適な申請手続きをサポートいたします。貨物利用運送事業への参入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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