
輸出酒類卸売業免許とは
海外に日本酒や焼酎など日本国内で製造されたお酒を輸出するためには、「輸出酒類卸売業免許」が必要です。この免許は、申請者自身が直接、海外の消費者や取引業者にお酒を輸出する場合に限られます。他の国内輸出業者へ卸売する場合は別の免許が必要です。販売先が海外限定となる一方、取り扱える酒類の品目に原則制限はありません。
注意点として、通信販売酒類小売業免許(インターネット販売など)では海外の消費者にお酒を販売できません。一般消費者への輸出販売も必ず輸出酒類卸売業免許が必要です。
取り扱い可能な酒類の品目
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許可条件は「自己が輸出する酒類の卸売」であり、基本的に品目制限はありません。
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ただし、申請時に「清酒のみ」など限定された取扱品目の承諾書を提出した場合、その範囲に免許が限定されることがあります。
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できるだけ多くの品目を扱う仕入先から取引承諾書を取得することが望ましいです。
免許取得のための主な要件
人的要件
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税金の未納や法律違反がないこと
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過去の酒税法違反や業務禁止歴のないこと
場所的要件
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不適切と認められる場所以外に販売場(事務所等)を設けること
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営業実態や事務手続きが行えるオフィスが必要
経営基礎要件
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直近の決算書で繰越損失が資本等の額を上回っていないこと
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直近3期連続で資本等の額の20%超の欠損がないこと
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知識・能力については、販売経験がなくても「酒類販売管理研修」の受講や、貿易実務への精通でカバー可能
需給調整要件
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販売先や仕入れ先が安定し、適正な流通・仕入れが確保できること
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酒場や料理店等の接客業者を主たる取引先としないこと
必要書類とそのポイント
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申請書一式(販売場の状況・配置図・事業計画書・収支計画・資金調達方法等)
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法人の場合は定款や役員の履歴書
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法令遵守誓約書、納税証明書、直近3年分の財務諸表、登記事項証明書
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仕入先・販売先からの取引承諾書(最低1社ずつ)
注意: 申請時には「具体的な販売計画」「取引先との実際の関係」が必要で、免許取得後に仕入先を探すという流れは認められません。
申請から取得までの流れ
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事前準備
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仕入先・販売先の選定と交渉
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事業計画・資金計画など各書類の整備
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税務署に相談・申請書類の提出
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必要書類を作成し、所轄税務署へ提出
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審査・追加対応
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審査期間は通常2~3ヶ月。不備があれば対応を求められる場合があります
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免許取得・登録免許税の納付
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免許取得時には登録免許税(9万円)を納付
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よくある質問
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手続き期間・費用の目安
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審査2~3ヶ月、登録免許税9万円+証明書取得費用
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行政書士等へ依頼する場合は別途報酬がかかります
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免許取得後の注意点
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輸出先国の酒類規制や税制、ラベル規制等の事前調査が必須です
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専門家への相談のメリット
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許可取得までの書類作成や審査対応の負担を軽減
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最新の法規制・要件に基づいた安心サポート
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トラブル発生時も迅速な対応が可能
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免許取得後も事業運営の相談が受けられます
まとめ
輸出酒類卸売業免許の取得は、【日本のお酒を海外に合法的に供給するために“必須”の手続き】です。品目の制限は原則ありませんが、申請時の書類整備や事業計画の具体化が重要です。専門家によるサポートを活用することで、安心かつ効率的な手続きが可能です。将来性の高い日本酒など酒類の海外展開を目指す方は、早めの準備と相談がおすすめです。