
採石業を始めるには?採石業者の登録と採取計画の認可に関する基準と手続き方法
採石業とは
採石業とは、岩石や石材を切り出すことを事業目的とし、反復継続して行うものを指します。営利・非営利、個人・法人を問わず、採石法の対象となる岩石の採取を行う場合は採石業に該当します。また、本来の事業目的の達成のために副次的に岩石の採取を行う場合でも、その規模、継続性、およびそれに付随する行為(販売や他所での使用など)が社会通念上、採石業とみなされる程度のものとなれば、採石業と判断されます。
【採石法の対象となる岩石】 花こう岩、せん緑岩、はんれい岩、かんらん岩、はん岩、ひん岩、輝緑岩、粗面岩、安山岩、玄武岩、れき岩、砂岩、けつ岩、粘板岩、凝灰岩、片麻岩、じや紋岩、結晶片片岩、ベントナイト、酸性白土、けいそう土、陶石、雲母、ひる石。
採石業者の登録
採石業を始めるには、事業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事から、採石業者としての登録を受ける必要があります。
登録申請手続き
以下の書類を揃え、都道府県知事に対して申請を行います。
- 登録申請書
- 登録拒否事由に該当しないことを誓約する書面
- 採石業務主任者の合格証または認定証
- 採石業務主任者が欠格事由に該当しないことを誓約する書面
- 採石業務主任者が申請者またはその従業員(法人の業務を行う役員を含む)であることを証する書面
- 採石業務主任者の住民票の写し
- 法人登記事項証明書(法人の場合)
- 申請者、法人の業務を行う役員、および採石業務主任者の生年月日を証する書面
【申請書の記載事項】
- 氏名または名称および住所、ならびに法人にあっては代表者の氏名
- 事務所の名称および所在地、ならびにその事務所に置く採石業務管理者の氏名
- その業務を行う役員の氏名(法人の場合)
登録拒否事由
以下のいずれかに該当する場合、または提出書類に虚偽の記載がある場合や重要な事実の記載が欠けている場合は、登録を受けることができません。
- 採石法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
- 採石業者であって法人であるものが登録を取り消された場合において、その処分のあった日前30日以内にその採石業者の業務を行う役員であった者で、その処分のあった日から2年を経過しないもの
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 法人であって、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの
- 暴力団員等がその事業活動を支配する者
採石業務主任者
採石業者は、その事務所ごとに、採石業務主任者を選任し配置する必要があります。採石業務主任者は、採石業務主任者試験に合格した者、または合格者と同等以上の知識および技能を有すると都道府県知事が認定した者で、以下の欠格事由に該当しない者でなければなりません。
採石業務主任者の欠格事由
以下のいずれかに該当する者を採石業務主任者として選任することはできません。
- 採石法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 登録を取り消され、その取消しの日から2年を経過しない者
- 採石業者であって法人であるものが登録を取り消された場合において、その処分のあった日前30日以内にその採石業者の業務を行う役員であった者で、その処分のあった日から2年を経過しないもの
- 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
採石業務主任者の職務
採石業務主任者には、以下の重要な職務が義務付けられています。
- 採取計画の作成および変更に参画すること
- 岩石採取場において、認可採取計画に従って岩石の採取および災害の防止が行われるよう監督すること
- 岩石の採取に従事する者に対する岩石の採取に伴う災害の防止に関する教育の計画の立案もしくは実施、またはその監督を行うこと
- 帳簿の記載および法第42条の報告について監督すること
- 岩石の採取に伴う災害が発生した場合に、その原因を調査し、およびその対策を講ずること
変更・廃止の届出
採石業者は、登録事項に変更があったとき、または登録に係る都道府県の区域内において採石業を廃止したときは、遅滞なくその旨を登録をした都道府県知事に届け出る必要があります。
採取計画の認可
登録を受けた採石業者が岩石の採取を行おうとするときは、岩石採取場ごとに採取計画を定め、岩石採取場の所在地を管轄する都道府県知事(または指定都市の長)の認可を受ける必要があります。
認可申請手続き
以下の書類を提出し、申請を行います。
- 認可申請書
- 岩石採取場の位置を示す縮尺5万分の1の地図
- 岩石採取場およびその周辺の状況を示す見取図
- 掘削に係る土地の実測平面図
- 掘削に係る土地の実測縦断面図および実測横断面図に土地の計画地盤面を記載したもの
- 採石業者の登録を受けていることを示す書面
- 岩石採取場を管理する事務所の名称および所在地、採石業務主任者の氏名、ならびに採石業務主任者が岩石採取場において認可採取計画に従って岩石の採取および災害の防止が行われるよう監督するための計画を記載した書面
- 岩石採取場で岩石の採取を行うことについて申請者が権原を有すること、または権原を取得する見込みが十分であることを示す書面
- 岩石の採取に係る行為に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面、または受ける見込みに関する書面
- 岩石採取場からの岩石の搬出の方法および岩石採取場から国道または都道府県道にいたるまでの岩石の搬出の経路を記載した書面
- 採取跡における災害の防止のために必要な資金計画を記載した書面
- その他参考となる事項を記載した図面または書面
【申請書の記載事項】
- 氏名または名称および住所、ならびに法人にあっては代表者の氏名
- 登録の年月日および登録番号
採取計画
採取計画には以下の事項を定めます。認可後に採取計画を変更しようとするときは、認可をした都道府県知事に再度申請し、変更の認可を受ける必要があります。
- 岩石採取場の区域
- 採取をする岩石の種類および数量、ならびにその採取の期間
- 岩石の採取の方法および岩石の採取のための設備その他の施設に関する事項
- 岩石の採取に伴う災害の防止のための方法および施設に関する事項
- 岩石の賦存の状況
- 採取をする岩石の用途
- 廃土または廃石の堆積の方法
採取計画の変更によって新たに災害が発生するおそれがないと認可行政庁が認めるものについては変更の認可を受ける必要はありませんが、その場合であっても、その旨を認可をした都道府県知事(または指定都市の長)に届け出る必要があります。
休止・廃止の届出
採取計画の認可を受けた採石業者が岩石採取場における岩石の採取を引き続き6か月以上休止しようとするとき、または岩石の採取を廃止したときは、遅滞なくその旨を認可をした都道府県知事に届け出るものとされています。
認可の基準
採取計画に基づいて行われる岩石の採取が、他人に危害を及ぼし、公共の用に供する施設を損傷し、または農業、林業もしくはその他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると都道府県知事(または指定都市の長)が認めるときは、認可を受けることができません。
したがって、定型的な認可基準は存在せず、事案ごとに個別の事情によって認可の可否は判断されます。
また、都道府県知事(または指定都市の長)は、認可採取計画に基づいて行われている岩石の採取が上記に該当することとなる、または該当することとなるおそれがあると認めるときは、認可を受けた採石業者に対し、認可採取計画を変更すべきことを命ずることができます。
【緊急措置命令等】 都道府県知事(または指定都市の長)は、岩石の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要があると認めるときは、採取計画の認可を受けた採石業者に対し、岩石の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきこと、または岩石の採取を停止すべきことを命ずることができます。
市町村長は、岩石の採取に伴う災害が発生するおそれがあると認めるときは、都道府県知事に対し、必要な措置を講ずべきことを要請することができます。
さらに、都道府県知事は、規定に違反して採石業を行った者、または岩石の採取を行った者に対し、採取跡の埋め戻しその他岩石の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができます。
採石業者申請サポート
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