
日本で事業を始める外国人の方へ:経営・管理ビザ取得のポイント
日本で会社を設立し、事業を経営したい外国人の方が取得する必要があるのが**「経営・管理」ビザ**です。このビザの許可を受けるためには、いくつかの重要な条件をクリアする必要があります。ここでは、その主要な条件と注意点について詳しく解説します。
経営・管理ビザとは?
「経営・管理」ビザは、日本で事業の経営・管理業務を行う外国人のための在留資格です。具体的には、日本の会社で事業運営に関する重要事項の決定、事業の執行、または監査の業務を行う方が対象となります。
主な対象者は、株式会社の代表取締役や合同会社の代表社員となる外国人です。また、ある程度の規模がある会社であれば、部長、工場長、支店長などの管理者も対象となる場合があります。
経営・管理ビザ取得のための4つの基本条件
「経営・管理」ビザを取得するためには、以下の4つの基本条件をすべて満たす必要があります。
1. 申請者本人が実際に事業の経営に携わること
「経営・管理」ビザを取得する外国人本人が、代表取締役や取締役などの役員に就任し、実際に経営を行うことが必須です。単に会社に出資するだけでは対象となりません。
たとえ登記上で役員になっていても、実質的に別の人物が経営を行っている場合はビザは許可されません。審査では、会社の業務執行権や重要事項を決定できる経営権を持ち、実際に経営を担っているかが重視されます。
なお、経営者としての実務経験がなくても、学歴や経歴からその事業を運営していく素質があると判断されれば問題ありません。
2. 会社規模が一定以上あること
事業の規模を示す以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
- 常勤職員が2名以上従事していること
- 「経営・管理」ビザを申請する外国人以外に、2名以上の常勤職員(日本人、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、特別永住者、定住者)を雇用している必要があります。
- 注意点として、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザを持つ外国人を雇用しても、この常勤職員の条件は満たされません。
- 資本金の額が500万円以上あること
- 常勤職員を2名以上雇用しない場合でも、資本金が500万円以上あれば、事業規模の条件を満たします。
- 上記に準ずる規模と認められること
- 上記のいずれかの条件を満たさない場合でも、個別の状況に応じて「常勤職員2名以上または資本金500万円以上」に準ずる規模であると認められるケースがあります。
【具体例】
新会社設立の場合、設立当初から正社員を雇用しないケースも多いため、資本金500万円以上で会社を設立するのが一般的な選択肢となります。
3. 事業内容に安定性・継続性があること
これから行う事業が実現可能であり、かつ将来にわたって安定して継続できる見込みがあることが重要です。これは事業計画書によって証明されます。
実現性の高い収支計画を盛り込んだ事業計画書を作成し、そのビジネスが継続的に利益を生み出し、運営していけることを示す必要があります。
4. 日本に事業所が確保されていること
日本国内に、ビジネスの拠点となる事業所(事務所や店舗など)を確保していることが必須です。この事業所には、以下の条件が求められます。
- 他のスペースと区切られた施錠できる個室であること
- PC、机、椅子など、事業運営に必要な設備が整っていること
- 賃貸借契約者が法人等の名義になっていること
- 賃貸借契約期間が長期であること
- 賃貸借契約の使用目的が事業用、店舗用、事務所など、事業目的になっていること
- 看板や表札などを掲げていること
また、自宅兼事務所とする場合は、「住宅として使用している区画を通らずに入り口から事務所へ行けること」や「事務所用の郵便ポストが住宅用ポストとは別になっていること」など、非常に細かな条件を満たさなければ、事務所として認められないため注意が必要です。
まとめ
「経営・管理」ビザは、多額の資金を投資して会社を設立しても、これらの条件のいずれか一つでも満たしていない場合は許可されません。
- ビザを取得する外国人本人が実際の経営に携わること
- 常勤職員を2名以上雇用するか、資本金を500万円以上にすること
- 詳細な事業計画書を作成し、事業の安定性・継続性を証明すること
- 日本で条件を満たした事業所を確保すること
これらの要件をしっかりと理解し、準備を進めることが成功への鍵となります。
行政書士法人塩永事務所では、電子定款作成、会社設立、そして「経営・管理」ビザの取得まで、トータルでサポートしています。経営・管理ビザの取得見込みや手続きの流れにご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。