
短期滞在ビザ(観光ビザ)の詳細解説
行政書士法人塩永事務所
短期滞在ビザとは
短期滞在ビザは、外国人が日本に短期間滞在するために必要な査証(ビザ)です。正式名称は「短期滞在査証」ですが、目的によって「観光ビザ」「親族訪問ビザ」「商用ビザ」など様々な呼び方で呼ばれています。
滞在可能期間
短期滞在ビザで日本に滞在できる期間は以下の通りです:
- 90日以内
- 30日以内
- 15日以内
滞在期間は申請時の目的や状況に応じて決定されます。
対象となる活動
短期滞在ビザで行うことができる活動は、報酬を受けない活動に限定されています。
主な活動内容
- 観光・保養・スポーツ:日本国内の観光地巡り、温泉旅行、スポーツ観戦など
- 親族・友人訪問:日本に住む家族や友人との面会、冠婚葬祭への参加
- 商用活動:業務連絡、商談、契約調印、アフターサービス、工場見学、会議出席
- 文化・学術活動:講習会や会合への参加、見学活動
- その他:医療目的での来日、短期間の日本語学習など
重要な制限事項
- 報酬を受ける活動は禁止
- 就労活動は一切認められない
- 在留資格の変更は原則として不可
申請方法
短期滞在ビザの申請方法は主に2つあります:
1. 招へい型申請
日本にいる人(日本人または在日外国人)が外国人を招待する形で申請する方法です。
2. 個人申請
外国人が自分で日本の在外公館(大使館・領事館)に申請する方法です。
必要書類
申請人(外国人)が準備する書類
- 査証申請書(所定の用紙に記入・写真貼付)
- パスポート(6ヶ月以上の有効期限があるもの)
- 写真(45mm×45mm、6ヶ月以内撮影)
- 滞在予定表(詳細な日程表)
招へい人が準備する書類(招へい型の場合)
- 招へい理由書(来日目的、招へい経緯を詳述)
- 滞在予定表(詳細なスケジュール)
- 招へい人の身分証明書
- 日本人の場合:住民票、戸籍謄本など
- 外国人の場合:在留カード写し、住民票など
身元保証人が準備する書類
- 身元保証書(滞在費、帰国旅費、法令遵守の保証)
- 身元保証人の資力を証する書類
- 所得証明書または課税証明書
- 預金残高証明書
- 確定申告書写しなど
- 住民票(世帯全員記載、本籍地記載)
- 在職証明書または営業許可証写し
ビザ免除国について
一部の国籍の方は、短期滞在の目的であれば査証なしで日本に入国できます。主な対象国は以下の通りです:
- アジア:韓国、台湾、香港、シンガポール、ブルネイなど
- 欧州:ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、スペインなど多数
- 北米:アメリカ、カナダ
- オセアニア:オーストラリア、ニュージーランド
- 南米:アルゼンチン、チリ、ウルグアイなど
ビザが必要な主要国
- 中国
- インド
- ロシア
- ブラジル
- 南アフリカ
- タイ(15日超の滞在の場合)
- フィリピン
- ベトナム
- インドネシア
申請の流れ
- 書類準備:必要書類を収集・作成
- 申請:管轄の日本領事館等に書類提出
- 審査:通常1週間程度(国・時期により変動)
- 査証発給:パスポートに査証シール貼付
- 来日:査証の有効期間内に日本入国
注意点とポイント
滞在予定表の重要性
滞在予定表は査証審査の重要な判断材料となります。実際のスケジュール通りに行動する必要はありませんが、具体的で現実的な予定を記載することが重要です。
招へい理由書の記載
招へい理由書では、なぜその人を日本に招待するのか、どのような関係性があるのかを詳しく説明する必要があります。曖昧な記載は審査に悪影響を与える可能性があります。
経済力の証明
身元保証人の経済力は審査の重要な要素です。申請人の滞在費用を十分に負担できることを書類で証明する必要があります。
過去の出入国歴
申請人の過去の日本への出入国歴や他国での出入国歴も審査の対象となります。過去にオーバーステイや入国拒否の経歴がある場合は、特に慎重な準備が必要です。
よくある質問
Q: 短期滞在ビザで就労は可能ですか? A: いいえ、短期滞在ビザでは一切の就労活動が禁止されています。報酬を受ける活動は認められません。
Q: 滞在期間の延長は可能ですか? A: 人道上真にやむを得ない事情等がある場合に限り、延長が認められる場合があります。通常の観光や商用での延長は困難です。
Q: 他の在留資格への変更は可能ですか? A: 短期滞在から他の在留資格への変更は、原則として認められていません。一旦帰国してから改めて申請する必要があります。
Q: 申請が不許可になった場合の再申請は? A: 不許可の理由を明確にし、問題点を改善した上で再申請することは可能です。ただし、同じ内容での再申請は推奨されません。
まとめ
短期滞在ビザは比較的取得しやすいビザですが、適切な書類準備と正確な申請が成功の鍵となります。特に招へい理由書や滞在予定表の記載内容、身元保証人の経済力証明が重要なポイントです。
不明な点や複雑なケースについては、出入国在留管理庁認定の申請取次行政書士にご相談されることをお勧めします。
行政書士法人塩永事務所
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