
育成就労制度における監理支援機関の新規許可申請について:許可要件・必要書類・外部監査人設置義務・申請スケジュール・申請手数料
日本政府は、外国人労働者の受け入れを強化するため、2024年6月に改正出入国管理法を可決・成立させ、新たな在留資格「育成就労」を創設しました。この制度は、2027年に開始予定で、現行の外国人技能実習制度を発展的に解消し、特定の産業分野での人材育成と確保を目的としています。本記事では、育成就労制度における「監理支援機関」の新規許可申請に関する詳細を、許可要件、必要書類、外部監査人設置義務、申請スケジュール、申請手数料を中心に解説します。
1. 監理支援機関とは?
「監理支援機関」は、育成就労制度において、監理型育成就労の適正な実施を支援する機関です。主な役割は以下の通りです:
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雇用関係のあっせん:受入機関(育成就労実施者)と育成就労外国人との雇用契約の成立を支援。
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監理支援:受入機関に対する育成就労の実施に関する指導や監査。
監理支援機関は、旧技能実習制度の「監理団体」に代わる役割を担いますが、特定技能制度の「登録支援機関」とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。監理支援機関は、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)に基づき、主務大臣の許可を受けた非営利法人でなければなりません。
2. 監理支援機関の許可要件
監理支援機関として許可を受けるためには、育成就労法第25条に定められた以下の要件を満たす必要があります:
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非営利法人であること
本邦の営利を目的としない法人(例:NPO法人や社団法人など)であること。 -
事業遂行能力
監理支援事業を適正に遂行できる能力を有し、主務省令で定める基準に適合していること。 -
財産的基礎
事業を健全に遂行するための十分な財務基盤を有していること。 -
個人情報管理
個人情報の適切な管理および受入機関や育成就労外国人の秘密を守る措置を講じていること。 -
外部監査人の設置
受入機関と密接な関係を持たない者で、職務の執行を公正かつ適正に監査できる知識・経験を有する外部監査人を設置していること。 -
外国送出機関との契約
育成就労外国人の求職申込みの取次ぎを行う場合、外国の送出機関と契約を締結していること。 -
その他の適正遂行能力
監理支援事業を適切に遂行できる能力を有していること。
注意:外部監査人の設置は、現行の技能実習制度とは異なり必須要件です。旧制度では外部役員による監査も認められていましたが、育成就労制度では外部監査人の選任が義務付けられています。
3. 外部監査人について
外部監査人の役割
外部監査人は、監理支援機関の役員が監理支援事業の職務を適正に執行しているかを監査する役割を担います。監理支援機関の中立性・独立性を確保するため、以下の要件を満たす必要があります:
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独立性:受入機関(育成就労実施者)と主務省令で定める密接な関係を持たないこと。
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知識・経験:職務の監査を公正かつ適正に遂行できる知識または経験を有すること(主務省令で定める要件に適合)。
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欠格事由の不存在:法令違反や不正行為など、外部監査人としての適格性を損なう事由がないこと。
外部監査人に適した人物
特定の資格は要求されていませんが、以下の職種や経験を持つ者が適任とされています:
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申請取次資格を持つ行政書士や弁護士:在留資格手続きや入管法に精通しているため。
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社会保険労務士や税理士:外国人雇用管理や企業運営に関するノウハウを有する者。
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実務経験者:受入機関や監理団体での勤務経験があり、育成就労制度や入管法に精通している者。
推奨:監査体制の充実を考慮し、個人事務所ではなく、複数の資格者が所属する士業法人を選ぶことが望ましいです。
外部監査人の報酬相場
外部監査人の報酬は、以下の要素により変動します:
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監査人の経験やスキル(例:弁護士か行政書士か)。
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監理対象の育成就労外国人の人数や国籍。
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監査対象事業所の所在地や移動距離。
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土日祝・夜間対応や多言語対応の有無。
目安:申請取次行政書士の場合、月額30,000円(税別)~が一般的な相場とされています。
4. 必要書類
監理支援機関の許可申請には、育成就労法第23条に基づき、以下の書類を提出する必要があります:
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申請書
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名称、住所、代表者の氏名。
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役員の氏名・住所。
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監理支援事業を行う事業所の名称・所在地。
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監理支援責任者の氏名・住所。
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外国送出機関との契約情報(取次ぎを行う場合)。
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その他主務省令で定める事項。
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添付書類
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事業計画書:監理支援事業所の監理型育成就労実施者および育成就労外国人の見込数、事業内容など。
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許可要件を証する書面:非営利法人であること、財産的基礎、個人情報管理体制、外部監査人の選任状況などを証明する書類。
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その他主務省令で定める書類。
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注意:主務省令は2024年9月時点で未公表のため、詳細な書類リストは今後発表される予定です。
5. 申請スケジュール
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申請開始時期:育成就労制度の施行日(2027年予定)および主務省令の公表時期は未定。改正法公布日(2024年6月21日)から3年以内に施行予定。
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申請の流れ:
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許可要件の確認:外部監査人の選任や財産的基礎の確認。
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書類準備:申請書および添付書類の作成。
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申請書作成:主務省令に基づくフォーマットで作成。
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申請提出:主務大臣(出入国在留管理庁など)に提出。
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許可証受領:審査を経て許可された場合、許可証が交付される。
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注意:施行日や申請受付開始日は、法務省(出入国在留管理庁)のホームページで発表される予定です。
6. 申請手数料
申請手数料は、育成就労法第23条第7項に基づき、実費を勘案して主務省令で定められます。2024年9月時点で具体的な金額は未公表ですが、申請者は手数料を納付する必要があります。詳細は主務省令の公表を待つ必要があります。
7. 申請先(提出先)
監理支援機関の許可申請は、主務大臣(出入国在留管理庁など)に提出します。具体的には、法務省や関連省庁が指定する窓口(例:地方出入国在留管理局)での受付が想定されます。詳細な提出先は、主務省令の公表後に明らかになります。
8. 注意点とおすすめの対応
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厳格な監督:育成就労制度では、監理支援機関に対する許可および監督が、技能実習制度よりも厳格に運用される予定です。申請準備は慎重に行い、専門家の支援を検討することが推奨されます。
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外部監査人の早期選任:外部監査人の選任は許可要件の重要な要素です。2027年の制度開始に備え、早めに適任者を選定することをおすすめします。
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専門家の活用:申請取次資格を持つ行政書士や弁護士に相談することで、正確な書類作成とスムーズな申請手続きが期待できます。特に、外国人雇用や入管法に精通した士業法人(例:行政書士法人塩永事務所)が適任です。
9. まとめ
育成就労制度における監理支援機関の新規許可申請は、非営利法人としての資格、財産的基礎、外部監査人の設置など、厳格な要件を満たす必要があります。2027年の制度開始に向け、主務省令の公表や申請スケジュールの発表を注視し、早めの準備が重要です。特に外部監査人の選任は許可の鍵となるため、申請取次資格を持つ行政書士や弁護士など、適切な専門家を選ぶことが成功への近道です。
ご不明点や申請代行の依頼をご検討の方は、行政書士法人塩永事務所(監理責任者等講習修了・申請取次登録済み)までお気軽にご相談ください。全国対応可能です!
参考情報
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法務省(出入国在留管理庁):制度施行日や主務省令の公表情報
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行政書士法人塩永事務所:外部監査人就任サービス、監理支援機関許可申請代行
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