
休眠預金活用事業は、10年以上取引のない銀行口座の預金(休眠預金)を社会課題の解決や民間公益活動の促進に活用する制度です。2019年から始まり、一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)が中心となって運営しています。以下、公募(助成・支援申請)について分かりやすく解説します。
1. 休眠預金活用事業の目的
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社会課題の解決:子ども・若者の支援、貧困対策、地域活性化など、行政だけでは対応が難しい課題に取り組む。
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民間公益活動の促進:NPOや公益法人など民間団体が主体的に活動できる環境を整える。
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持続可能な社会の実現:SDGs達成にも貢献する事業を支援。
2. 公募の種類
公募は主に以下の2つの枠組みで行われます:
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通常枠:
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複数年(最大3年)の助成で、民間団体の創意工夫を活かした事業を支援。
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例:地域の若者支援プログラム、コミュニティ再生事業。
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助成額は1事業あたり平均1.5億円程度(2024年4月時点)。
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緊急支援枠:
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災害や物価高騰、コロナ対応など緊急性の高い課題に対応。
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助成期間は最大1年で、迅速な支援を目指す。
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また、2023年からは活動支援団体の公募も開始。資金提供だけでなく、団体への専門的なアドバイスや伴走支援(事業運営、広報、評価手法など)を行う枠もあります。
3. 申請できる団体
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資金分配団体:
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休眠預金を受け取り、実行団体に助成や出資を行う中間支援組織。
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法人格が必要(NPO法人、公益財団法人など)。
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コンソーシアム(複数の団体による共同申請)も可。
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実行団体:
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実際に事業を実施する団体。
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通常枠・緊急支援枠では任意団体も申請可能(個人事業主は不可)。
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資金分配団体が公募する事業に応募する形。
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活動支援団体:
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資金分配団体や実行団体を支援する専門知識を持つ団体。
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例:事業設計やガバナンス強化のサポート。
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4. 公募の流れ
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公募情報の確認:
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公募は通常枠・緊急支援枠で年1~2回、活動支援団体も随時募集。
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説明会への参加:
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オンライン説明会や動画視聴が推奨(必須の場合も)。
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公募のポイントや申請書類の作成方法を学べる。
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申請書類の準備:
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必要書類:事業計画書、資金計画書、助成申請書、団体情報(登記事項証明書など)。
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JANPIA指定の様式を使用し、SDGsとの関連性も記載。
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役員名簿など一部書類はパスワード保護が必要。
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申請提出:
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公募システム(オンライン)で提出。入力後、修正不可なので事前準備が重要。
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コンソーシアム申請では構成団体の情報も登録。
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審査と選定:
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外部専門家による審査会議で評価。
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事業の社会的インパクトや実現可能性が重視される。
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結果はJANPIAのサイトで公開。
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助成金受領と事業実施:
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助成金は年数回(例:4月、7月、10月)に分割支給。
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事業終了後は成果報告書を提出。
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5. 申請のポイント
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事業の明確さ:何を解決するのか、どんなインパクトがあるのかを具体的に示す。
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団体の信頼性:過去の実績やガバナンス体制をアピール。
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地域や社会への貢献:地域課題や受益者への効果を強調。
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事前相談:JANPIAの個別相談(オンライン可)で事業内容をブラッシュアップ。
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書類の準備:記入漏れや不備がないよう、チェックリストを活用。
6. 最近の動向(2025年時点)
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2024年度公募:通常枠(第1回・第2回)、緊急支援枠(随時募集)、活動支援団体の公募結果が公開済み。
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支援実績:これまでに約290億円が助成され、190事業が実施(2024年4月時点)。
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災害支援の強化:2025年3月には山林火災など災害支援の寄付窓口情報も公開。
7. 申請を検討するなら
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JANPIAのサイトで最新の公募要領やQ&Aを確認。
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休眠預金活用プラットフォームで過去の採択事例やセミナー情報を参考に。
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オンライン説明会に参加し、疑問点を解消。
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問い合わせ先:JANPIA事業部(平日10:00~17:00、電話03-6229-2622)。
8. 注意点
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申請締切後の修正は不可。早めの準備を。
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資金分配団体と実行団体の役割を混同しない(実行団体は資金分配団体が公募する事業に応募)。
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助成と出資の重複受給は不可。
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緊急支援枠は迅速な対応が必要な場合に限定。
この制度は、社会課題に取り組む団体にとって大きなチャンスですが、申請には計画性と準備が不可欠です。興味があれば、まずJANPIAのサイトで公募スケジュールを確認し、説明会に参加するのがおすすめです!
参考情報:
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JANPIA公式サイト(www.janpia.or.jp)
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休眠預金活用プラットフォーム(www.kyuplat.com)
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内閣府 休眠預金等活用ページ(www8.cao.go.jp)